ケース・事例紹介

2022.03.30更新

【最初のご相談】
 ご相談者様は、オートバイで国道の交差点を青信号で通過しようとしたところ、右折してきた四輪自動車と衝突し、大けがを負いました。幸いにして後遺症はなかったものの、治療のために約1年半の通院が必要となりました。

 この事故で、加害者側の保険会社は、加害者車両が右折の為先に交差点に進入していたとして、ご相談者様の過失が3割あるとして、ご相談者様の損害の7割での賠償額を提示してきました。

 しかし、ご相談者様は、自分が交差点に入ろうとしたところ加害者の車両はまだ反対側車線にいたことから直進車優先の原則どおり自分がそのまま直進しようとした、とのことでした。

 

【解決結果】
 担当弁護士が刑事記録を取寄せ検討した結果、加害者側の主張は事実と異なっており、ご相談者様の過失はあったとしてもせいぜい1割であろうとの心証を得て、加害者側にその旨通知しましたが、加害者側は納得しなかったため結局提訴しました。

 訴訟では結果として当方の主張が認められ、ご相談者様の損害の9割の回収ができたうえ、判決まで得たために事故時からの遅延損害金及ぼ弁護士費用の賠償も得ることができました。

 

【本件のポイント】
 過失割合が争いになる場合、加害者側の保険会社が応じずに訴訟にまで至ってしまうケースが少なくありません(なお、ドライブレコーダーにて記録がある場合には過失割合が争いになるケースは比較的減少してきているようではあります。)。特に本件のように慰謝料額が大きい場合や後遺症が残った場合には、過失の1割が数十万から数百万円の違いとなる場合もあります。

 そのような場合には、刑事記録の検討、そして最終的には裁判(訴訟)も見据えて、早めに弁護士に依頼されることをお勧めします。

※過失割合・・・交通事故では当事者双方に何らかの過失(事故の原因)があることがほとんどです。例えば自動車同士が衝突した場合、一方に前方不注意があり、他方に速度超過があった、と言ったように、です。その双方の過失割合を決める基準として過去の裁判例を基に「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」が出されています。なお、本件のような「信号機のある交差点における単車(直進)と四輪自動車(右折)との衝突」の場合、前記の「認定基準」では原則として単車15:四輪自動車85とされています。

投稿者: 池袋若葉法律事務所

2022.03.19更新

≪最初のご相談≫
 M子さんは結婚して約15年になる夫との離婚を決意し、ご主人に離婚を切り出しました。しかし、ご主人は絶対に離婚はしない、と言いそれ以来ろくな会話もできないとのことでした。離婚の原因としては、ご主人との価値観や趣味が合わず今後もずっと一緒にいることに耐えられなくなったから、とのことでした。

≪方針・結果≫
 M子さんは仕事をしており収入がありました。そこで担当弁護士は、ともかく別居をすること、そして、M子さんの別居開始と同時に、担当弁護士からご主人に宛てて今後M子さんへのご連絡は全て弁護士を通すこととともに、婚姻費用(※1)の請求をすることとしました。


 ご主人はM子さんの突然の別居に驚き、家庭裁判所に夫婦円満調停(※2)を申立ててきました。
調停ではご主人の側は自分に落ち度があるのであれば謝るからと言って一刻も早く同居を再開するようにと求めました。
これに対して、担当弁護士は、調停委員を通して、M子さんにとってはご主人と一緒に暮らすことがどれだけ苦痛か、別居を決意するほど離婚の意思が固いこと、もう同居することは全く考えられないこと等を説き続け、また、仮にこの調停が不調でも、別居は続くためご主人はM子さんに婚姻費用の支払いを続けなければならないことも調停員を通じてご主人に伝えてもらいました。

 その結果、最後にはご主人の側も離婚に応じ、財産分与をえることもできました。

 

≪本件のポイント≫
 本件では離婚の原因がいわゆる夫婦間の性格の不一致というものしかなく、当初これは長引くな、と思われました。しかし、本件は、1年かからずに解決しました。

 M子さんが別居を決意して別居に踏み出してくれたことにより、ご主人側には婚姻費用を負担しなければならないという事情が生じ、調停ではM子さんがご主人との同居を再開する意思が断じてないことを告げたことで、ご主人の側では婚姻費用を払いつづけるだけの関係になってしまう事が分かり、ついには離婚に応じたものと思われます。

 離婚事由(※3)がなくともご本人様の離婚に向けた強い意志と行動があれば離婚という解決を得られるという事を示した事例だろうといえます。

 

※1)婚姻費用とは?
   婚姻中の夫婦が婚姻生活を維持するために必要な費用のことで、夫婦が別居状態になると、収入の少ない方が収入の多い方に一定の金額を請求することができます。
※2)夫婦円満調停とは?
   正式には「夫婦関係調整調停(円満)」と言われるもので、家庭裁判所が調停委員会を介入させて円満な夫婦関係の回復を目的とする話合いの事です。
※3)離婚事由とは?
   裁判所が判決で離婚を命じることができるための民法上定められた要件で、①不貞行為、②悪意の遺棄、③3年以上の生死不明、④強度の精神病にかかり回復の見込みがないこと、⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由の5つを言います(民法770条第1項)。

 

投稿者: 池袋若葉法律事務所