良くある遺言・相続のご相談
- 私信やメモを書いておけば、遺言とみなしてもらえるのか
- 実家をどう処分するかで意見がまとまらず、相続が開始されない
- 独り身で親戚付き合いもしていないため、将来のことが心配
弁護士に相談するメリットとタイミングについて
相続のトラブルを防ぐには、遺言がもっとも効果的です。書きたいと思ったときがベストタイミングで、何回でも訂正できます。ただし、定められた要件を守らないと法的拘束力を持たなくなることが、普通の手紙と違うところです。専門家にご相談いただければ、作成時の注意点や、破棄・紛失の対策などをご説明します。
遺産分割でもめてしまった場合の相談ケース
- ご相談内容
- 亡くなった両親の介護を一生懸命続けてきたのに、ほかの兄弟と同じ相続分しかもらえず、不公平さを感じています。何か打つ手はないでしょうか。
- 当方のアドバイス
- 故人への貢献度は「寄与分」に反映されますが、「一生懸命続けてきた」という気持ちだけでは不十分で、数字の裏付けや「自分だけが診ていた」という具体的な証拠が必要になります。
- ご依頼の結果
- 「寄与分」を算定できるような根拠がなかったものの、ご本人の希望により調停手続きを開始しました。しかし、1年以上かけても結論が出ず、法定相続分による遺産分割が行われました。
- ポイント
- 親のために出費をしたら、その領収書や出費したことが分かる証拠を保管しておいてください。法的手続で自分の主張をするためには何事も証拠が重要なカギを握ります。
遺言書の作成を考えている方の相談ケース
- ご相談内容
- 私には長男と長女の二人がいますが、ずっと長女の夫婦と暮らし、とても助けてもらってきました。長男は、若いころ出て行ったまま、私が困っているときも何も助けてくれることもなく、ずっと連絡も取っていません。私には、今長女夫婦と暮らしている私名義の土地と建物のほか、預金があります。私の死後、私名義の土地と家は、ずっと世話をしてくれていた長女に必ず譲りたいと考えています。そのような遺言を書きたいのですが、可能でしょうか。
- 当方のアドバイス
- ご相談者名義の相続財産をすべてご長女のみに相続させるとの遺言を作ることは可能です。ただし、ご長男には法律上遺留分がありますので、後に遺留分の請求がなされる可能性もあります。そこで、まず土地・建物はご長女に相続させるとして、ご長男の遺留分に相当する預金をご長男に相続させるとの遺言を作成することが考えられます。
また、今、ご長男とお話ができるのであれば、ご長男の遺留分に相当する現金などを生前贈与する代わりにご長男に遺留分放棄の手続きを取ってもらったうえで、ご相談者の財産をすべてご長女に相続させるとの遺言書を作成する方法もあります。 - ご依頼の結果
- ご長男に、遺留分相当の現金を生前に前渡しし、遺留分放棄の手続きをしてもらったうえで、ご長女にすべての財産を相続させるとの遺言書を作成しました。
- ポイント
- 遺言を書いて終わりとするのではなく、生前に関係者へ根回しておくことも検討してみましょう。遺族には、それなりにやることが残されています。遺言書によって残されたご遺族がかえってトラブルを抱えないようにするように作成することが遺言書作成のコツといえるでしょう。
成年後見の相談ケース
- ご相談内容
- 母のいる実家へ帰るたびに、高価な装飾品や布団などが増えています。本人は「欲しくて買った」と言っていますが、言動に意味不明なところがあり、もしかしたら認知症なのではないでしょうか。これ以上、財産を失わないためにも、何か有効な方法を教えてください。
- 当方のアドバイス
- お母さまに成年後見人を付けてはいかがでしょうか。ただし、認知症など意思能力が低下している状態にあることが前提になりますので、まずは医師の診断を受けてください。
- ご依頼の結果
- 家庭裁判所に成年後見人を選任してもらい、不要な買い物などの行為を取り消した結果、購入代金が返還されました。
- ポイント
- 後見人は、受任する前の法律行為でも、取り消せる場合があります。ご両親の様子に疑わしい点があったら、契約書や領収書などを無くしてしまう前に、弁護士へ相談ください。
法律相談のススメ
自分の財産をどうしたいのかが決まっているなら、遺言という形に残しましょう。口頭で約束すると、ほかの遺族との間で、「そう言われている」「聞いていない」といった争いが起こり得ます。自分の遺志を伝えると同時に、残された方の負担を軽減する意味でも、法律相談で何ができるのかを確認してみましょう。